なぜ「なでしこリーグ」なのか?
オルカは創設から4年目。 私も本格的にオルカに携わって、まもなく3年が経とうとしている。 なでしこリーグ2部に昇格して、だいぶ環境も変わってきた。 チームの状況も1・2年目とは違う。 将来のビジョンを見据えながらの舵取りが続いているが、私もそろそろ自分の立場を見つめ直しながら、未来へ歩んでいく必要がありそうだ。
オルカに携わってからというもの、女子サッカーと自分なりに向き合ってきた。 サッカーの競技経験もなければ、サッカー界のことなどほとんど知らない。テレビやスタジアムで観戦、応援する単なるサポーターであった。 だから、さまざまなクラブや、ホームゲーム運営を見学し、本当にいろいろなことを勉強させていただいた。そこで気づきもたくさんあったし、なにより御縁をいただいたことが財産となっている。
リーグの会議でもしばしば話題に上がることであるが、女子サッカーを取り巻く環境はいまだに厳しい。 なでしこリーグの観客数も年々減少傾向にある。 昨年のリオ五輪出場を逃したことも大きく響き、その影響が今季は顕著に出てきている。 2011年W杯チャンピオンに輝き、2012年にはロンドン五輪で銀メダル。さらに2015年W杯では準優勝したなでしこJAPANであるわけだが、なでしこリーグの観客数は2011〜2012年をピークに激減していると言って良い。 もしかすると2011年以前の水準より厳しい状況かもしれない。
テレビのスポーツニュースでなでしこリーグの試合を取り上げることは重要なタイトル戦以外、ほとんどないと言って良い。 他のスポーツ種目と比べても、なでしこリーグは決してメジャーとは言えず、むしろマイナーの部類だろう。
そんななでしこリーグ、女子サッカーをどのように盛り上げていくべきなのか。 W杯優勝後に見られた一過的なブームではなく、安定的に持続性のあるトレンドをどのようにつくっていけば良いのだろうか。
そんな議論をする前提として、なでしこリーグが置かれている厳しい状況を全ての関係者がまずは真正面から向き合い、認識することが大切である。 実はそこから避けているのではないか。美化しているのではないか、と思うことがよくある。 女子サッカーがマイナースポーツであり、それをどのようにしてメジャースポーツに成長させていくのか、そういう現実を見つめた上での振興策を練っていかなければ絵に描いた餅で終わってしまうだろう。
「なでしこリーグ」がなぜ「なでしこリーグ」なのか。 なぜお客さんを呼び、試合を行うのか。 なぜ入場料をとるのか。 そういったことを考えなければならない。
単にサッカーの試合ができ、勝ち負けを争うだけならば、立派なスタジアムもいらないし、お客さんを呼び、お金をとる必要もない。 それ以外のなにか価値があるからこそのリーグなのだ。 その価値を高める努力を怠ってはならない。
今季、我々オルカの事業部は「価値創造」をテーマに活動している。 選手の価値を高め、チームの価値を高め、クラブの価値を高め、ホームゲームの価値を高め、リーグの価値を高め、地域の価値を高める……。 価値が高まったところには必ず人は魅せられ集まると考えるからだ。
そのためにはなにをすれば良いのか。 自問自答しながら、もがき苦しみながら毎日を重ねている。
オルカの今季の観客数は非常に厳しい。 地域、地域、とは言っているけれど、本当にオルカは地域のクラブになり切れているのか。自分でも甚だ疑問であり、そのことを自分たちに突きつけられる厳しいシーズンともなっている。 地域ということばにむしろ甘えていたのではないだろうか。 地域と言う前に、もっとクラブがチームが、そして一人ひとりが為すべきこと、根本的に考えることがあるのではないか。 そんな思いが日に日に高まっている。
オルカの挑戦はまだまだ始まったばかりだ。 自分のクラブ、チームだけが良ければ良いのではない。我々のミッションはリーグ全体を盛り上げ、価値を高めていくことだ。 そして、日本のスポーツ文化を成熟させ、人々にスポーツを通じて幸福を提供していくことである。 その原点だけはどんなことがあっても失いたくない。
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